卵巣のトラブルには卵巣嚢腫や多嚢胞性卵巣などの卵巣の器質的な病気によるものと、卵巣の機能低下によるホルモンの分泌不足によるものがあります。いずれも排卵障害になることが多く、不妊症の最も大きな原因となります。
多嚢胞性卵巣は小さな嚢胞が両側の卵巣に多数できて、排卵を阻害する特殊な疾患で、男性ホルモンの分泌が多くなることもあります。
軽度の場合と重度の場合では対応が異なりますが、軽度の場合は漢方薬が効果的です。
中国で周期療法により最初に妊娠した方が多嚢胞性卵巣であったという逸話もあります。中度~重度になると排卵障害が顕著になり、ひどい場合は無排卵になります。このようなケースは漢方薬だけでは十分な効果を得られないことがあり、クロミッドなどの排卵誘発剤を併用するほうが効果的なこともあります。
卵巣嚢腫はチョコレート膿腫、嚢胞腺腫、皮様嚢腫などのタイプがあります。
毛・歯・骨・皮脂分泌物などが内部にできる皮様嚢腫は漢方薬が効きにくいですが、チョコレート膿腫や嚢胞腺腫は瘀血や痰濁を除く漢方薬が効果的です。
ただし、重度の場合は手術を考慮します。 卵巣機能が低下するとFSHが高くなり、排卵障害になります。漢方医学では腎虚や血虚と考えており、漢方薬が非常に有効です。体質によっては骨盤内の血流を改善して排卵を促進する漢方薬を配合すると効果的です。
しかし、卵巣機能の低下が著しい場合は、漢方薬だけでは十分な効果が得られないケースもあります。このような場合はカウフマン療法を行ったり、排卵誘発剤と漢方薬を併用すると良い効果が得られます。